世紀の大逆転!! ツール・ド・フランス2020 振り返り

こんにちは、川村です。

毎年、ツールが終わるともうすぐ夏も終わりかな?と思うものですが、今年はすっかり秋ですね。節外れの今年のツールは最終日前日の個人タイムトライアルでスロベニアの21歳の新星タデイ・ポガチャル(UAEエミレーツ)が逆転優勝で幕を閉じました。

TREK-Segafredoの話で言うと、リッチー・ポートが総合3位で初の表彰台。本人が「夢が叶った」とも語ったように、ツールでは落車や不調で中々本来の実力を発揮できなかったベテラン選手が悲願の表彰台というのもファンとしてただただ嬉しいですね。

そんな、世紀の大逆転とも言われる今年のツール・ド・フランスを振り返っていきましょう!


ユンボのチーム力で堅実な走りのログリッチェ、孤軍奮闘のポガチャル、調子の上がらないベルナル

今年のツールは2週目から山岳ステージが多く組み込まれ、上りでのタイム差が付きやすいコース設定でした。その中でもレースを掌握したのは厚い選手層を誇るチーム・ユンボ・ヴィスマ。協力な牽引で他チームのアシストを崩壊させる力強さでエースのプリモシュ・ログリッチェを堅実に守る戦いぶり。

山頂フィニッシュで一番元気な脚を見せたのはツール初出場となるポガチャル。第10ステージの横風分断で1分30秒ほどタイムを失い、山岳アシストになるはずのファビオ・アルーとダビデ・フォルモロがリタイアして単騎での戦いとなる中でも躍動感のある走りを見せました。その一因に暫定マイヨ・ジョーヌだったログリッチェが同じスロベニア人の同胞ということで新人賞ジャージのための動きをある程度容認していた影響も考えられますね。後から思えば、ユンボはこの時にポガチャルを遊ばせすぎたかな?とも言えますね。

そして、前年度優勝で最強チームの呼び声高いチーム・INEOSのエース エガン・ベルナルですが、本格的な山岳ステージに入ると痛めていた背中の影響でタイムを失い総合争いから脱落。第17ステージは出走せず、ツールを後にしました。


All or Nothing 全てが決まる個人タイムトライアル

全ての山岳ステージを終えて、総合首位のログリッチェと2位ポガチャルの差はじわじわと縮まり57秒差。全てが決するのは第20ステージ、36.2kmの個人タイムトライアル。コースの前半は平坦ですが、後半は勾配20%を含む1級山岳とTTバイクで走り切るのか、もしくは上り口でノーマルバイクに乗り換えるのか、バイク交換によるタイムロスも含めて選択が鍵を握るところでしょう。

元々TTスペシャリストでTTが得意なログリッチェとしては、ここまでの57秒差のマージンを守り切ることが命題で、チームもこのTTを想定して19日間、エースのログリッチェを温存させてきた事でしょう。

対するポガチャルはクライマーと言える脚質。TTでどれ程の走りを見せるかは未知数ですが、直前のスロベニア選手権個人TTではログリッチェを9秒差で上回り優勝しているのが怪しい存在。

総合順位の下位から出走する個人TT、先に出走したポガチャルが中間計測タイムでトップ同等のタイムを叩き出し好調振りを発揮。後に出走したログリッチェに対してみるみるとタイムを縮めながら1級山岳の上り口へ、スムーズなバイク交換から上りも順調なペースでタイムを逆転、マイヨ・ジョーヌとなってこの日誰よりも早く1級山岳ラ・プランシュ・デ・ベル・フィーユへと帰ってきました。

続くログリッチェはポガチャルから1分56秒遅れ、総合タイムで59秒のビハインドとなってフィニッシュ。フィニッシュ後、大量の汗をかきながらバッドデイかと思わせる表情でうな垂れるログリッチェには哀愁を感じずにはいられませんでしたが、これもロードレース。勝利する選手がいれば敗れる選手がいる中で死力を尽くす選手たちの走りがこの競技の魅力なんだと思います。


世紀の大逆転でマイヨ・ジョーヌを手にしたポガチャルは史上2番目の若さでの総合優勝に加えて、山岳賞と新人賞も獲得。4賞ジャージの内3つのジャージを獲得したのは、なんとあのエディ・メルクス氏以来の快挙だそうです。

その他にも涙のステージ優勝の後にマイヨ・ヴェールを獲得したサム・ベネット、連日の果敢な逃げでステージ1勝と総合敢闘賞を獲得したマルク・ヒルシなど今大会活躍した選手たちそれぞれのドラマにも心打たれましたね。

一時はコロナウィルスの影響で開催も危ぶまれた今大会ですが、大会期間中に一度も選手からの感染者も出ず、無事に最終日パリのシャンゼリゼ通りで大会が終えられたことは、これから新しい生活様式の中でのスポーツイベントの一つとしての大きな成功例と言えるのではないでしょうか。

さて、ツールを終えてもまだまだ過密日程のシーズン序盤、来週は世界選手権、10月にはジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャに加えてツール・ド・フランドル、パリ・ルーベとビッグレースが目白押しです!

これからも自転車ロードレースを盛り上げていきましょう~!!

本日のブログ担当:川村

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