2026.8.14
【新型】Domane Gen5発売の話【第5世代】
※この記事は7000文字程度の短い記事です。
皆様ごきげんよう、LORO CYCLEWORKS TOKYOの伊藤です。今回は前書きは少なめでお送りします。

ついに発表された第5世代Domane(Gen 5)。
皆様より一足先にメーカーさんにご招待いただきましたので、本日の記事ではさまざまな変更点などをご紹介します!
今回、強く感じたのは、ありとあらゆる意味での「熱」。
TREKの根本たるロードライドへの情熱であったり、より良いものを作ろうという設計・開発の熱、どうやって皆様に喜んでいただくかという営業やマーケティングに対する熱であったり、誤解を恐れずに言えば、昨今の自転車業界ではそこまで感じなかった「熱」を感じる一台です。
今回の記事では、Domane Gen 5の商品紹介と、実際に乗った感想、感じたことをご紹介します!
Gen 4との違いについて
まず、新型Domaneと従来のDomaneを見比べると、全体的に多くの形状変更が見受けられます。
見た目的なところではIsoSpeedが廃止され、さらにD型形状のシートポストから円柱状のシートポストへ変わったシート周りは、わかりやすく大きな変更点と言えるでしょう。

Domane Gen5のホワイトペーパーを読むと今回のDomane Gen 5では、
1. ライダーに伝わる振動を抑制すること
2. ペダリング剛性を向上させること
3. バイクの重量を減らすこと
という3つの目標を念頭に置いて設計がスタートしたことがうかがえます。
これまでのDomaneでは、IsoSpeedという革新的な技術のおかげで振動を抑制し、快適な乗り心地を維持していました。しかし、今回のモデルには軽量化のためIsoSpeedが搭載されていません。
どのようにしてこの3つの目標をクリアしたのでしょうか?
ホワイトペーパーには、「シートポスト、フレーム、タイヤという3つのコンポーネントに答えがあります」と記載されていました。
シートポストに関しては(おそらくRSLシートポストを指していると思いますが)27.2mm径の汎用的な円形形状ながら、内部断面を楕円形にすることで、サドルに荷重がかかった際に横方向への剛性を維持しながら、柔軟にしなるようになっています。
(※剛性=物体の変形しにくさを示す指標。強度とは異なります)


シートポストだけではなくフレーム側では、カーボンレイアップの見直しにより、垂直方向の柔軟性とペダリング剛性の改善を図りました。
センサーを使っての計測値では第5世代Domaneは、第4世代Domane以上、第8世代Madone以下というあたりに位置づけられるペダリング剛性の味付けとなっており、パワー伝達が改善されています。
これは実際に乗った際にも感じたことで、今までのDomaneで個人的に感じた「もう少し反応が速く欲しい」という感覚が大幅に薄れていたため、個人的には実感しやすいポイントだと感じました。
タイヤに関しては今回のDomaneは、標準で35c、最大40cのタイヤを履けるようになりました。(昨今のリム幅の拡大やワイドタイヤの採用という流れが大きく影響しているように感じられます)
前作では標準で32cのタイヤを装着していましたが、35cタイヤでタイヤケーシングにかかる力を均一に保つ場合、空気圧を10%ほど下げる必要があります。
その結果、第5世代Domane(35cタイヤ装着時)の振動吸収性は第4世代Domaneとの差が5%以内に収まり、IsoSpeedなしで約300g軽くなったバイクとしては十分な範囲に収めることができました。
今回のDomaneには「ロードライドよ、永遠に」というキャッチコピーが付いています。
シンプルで軽く、快適性が高く、自信を持って走れるジオメトリを備えたGen 5は、まさにこのキャッチコピーどおりの車体と言えるでしょう。

誰向けの車体なの?
国内のロードバイク市場を見ると、TREKで言えばMadoneのようなレーシーなモデルが人気を博しています。
その中で、「快適性を高めて軽くしました」という説明だけでは、いささか弱いと感じる人もいるのではないでしょうか?
かくいう自分も、新しい自転車の話を見るたびに、レースに出るわけでもないのに「で、速さは? エアロは?重量は?」などと気にしてしまいます。
今回、新型Domaneを発売するにあたり、TREK Japanが無作為に1,100人を抽出して自転車の購買層を調査したところ、結果は以下のようになっています。
■街乗り層……42%
■サイクリング層……33%
■レースイベント層……16%
■非レースイベント層……9%
Madoneのメインターゲットは、もちろんレースイベント層です。軽くてエアロ、まさにレース向けの車体ですね。
それに対して、第5世代Domaneは非レースイベント層+サイクリング層という幅広い層をターゲットにしています。 そのターゲッティングは車体にも見受けられ、例えば、第4世代で好評だったダボ穴やフェンダーマウントは健在でバイクパッキングが可能な拡張性が残されています。
また、タイヤクリアランスが広がったことで、国内では主流のサイズである40cのグラベルタイヤを履かせることも可能です。
この広いクリアランスを活かして例えば、グラベルタイヤでもオンロード向きの性格のタイヤなどを履かせても面白いのではないでしょうか?
このように幅広い拡張性を持ったまま、フレーム自体はMadoneクラスにまで軽くなりました。
ですので例えば、普段はサイクリング用の車体として使いながら、軽さを生かしてヒルクライムなどのチャレンジに臨んだり、グラベルを含むライドイベントで冒険したり。
あるいは(TREK社外製品含めて)色々なバッグを取り付けてキャンプツーリングを楽しんだりと、「自転車でどう遊ぶか迷っている方」にこそ、新型Domaneは最適な車体になっています。
また、当然ながら最新モデルですからUDHにも対応しており、消耗品の調達も容易です。UDHは「ユニバーサルディレイラーハンガー」という名前のとおり共通規格ですので、スポーツバイク取扱店であれば、ある程度どこでも入手しやすくなっています。
ここに関しては個人的に非常に熱い思いがあるのですがあまり書きすぎると取引先に怒られそうなので個人的な所感として「今、自分が買う自転車としては、UDHでない時点で絶対に選定外」とだけ書いておきます(笑)
いや、本当にこういうパーツこそ共通化するべきなんですよ。
話が逸れましたが、Gen 3の頃に当時の上長が「僕らのためのスーパーバイク」と表現していた記憶があります。今作も「僕らのためのスーパーバイク」として、幅広い方がターゲットになり得るスペックになっていると強く感じます。
実食
さて、これまではホワイトペーパーに書かれていることや、スペック表から読み取れることを書いてきました。
しかし、せっかく試乗したのにこのモデルから感じる熱を伝えられないのであれば、そんな記事は世の中に必要ありません。メーカーサイトを見れば済む話ですのでこうやって記事を書かずとも「新型出たよ、見てね」で終わりでいいんですよね。
今回、我々関東の販売店は、7月下旬に多摩川河口付近のTREX KAWASAKIで行われた試乗会イベントにご招待いただきました。
(どうでもいい話ですがなぜTREX KAWASAKIだったのでしょうか?「トレック」つながり?)

TREX KAWASAKIの店内には新型Domaneがずらりと並べられ、カスタム案なども展示されているという熱の入りよう。我々LOROチームは午前の部に参加。
日本法人社長のあいさつや、その他の新商品の案内に続き、いよいよDomane Gen 5のプレゼンテーションが約30分にわたって行われ、9時30分頃から試乗会がスタート。
この日は河口から上流に向けて吹く風があり、湿度も高かったため、気温以上に蒸し暑さを感じました。しかし、それを吹き飛ばすような、あるいは暑さを加速させるような熱が、そろえられた試乗車から強く感じられます。

個人的には、あまり他のお店にごあいさつに行くことがないのですがこっそり冷やかしたりはしてます。我ながら嫌な客ですねぇ(笑)。有名店の店長さんやオーナーさんも来られており、注目度の高さがうかがえます。
最初に乗ったのは、個人的にボリュームゾーンかな、と感じたDomane SL 4。
11速仕様のTiagraを搭載した339,000円のモデルで、カラーリングは白っぽいベージュとマットブラックの2種類がラインナップされています。
ちなみに、なぜ「個人的にボリュームゾーン」と感じたかというと、コンポーネントのターゲット層とフレームのターゲット層が合致しており、この仕様のままでもサイクリングやツーリングを十分に楽しめる内容だからです。
まず持ち上げて感じたのは、明確に軽くなったという点です。
特に車体中央部のダウンチューブストレージやIsoSpeedがなくなったことで、軽量化をしっかりと感じられます。
これでご満足いただけない方であれば足回りをカスタムすればいいんじゃないでしょうか、 ヒルクライムも十分にいけると感じる重量感でした。
また、SL,SLRともにマニアックな話ですがよく見てみるとステム下ヘッドカバーが従来とは異なるパーツに変わっています。(写真はSLR)

またがって感じたのは、付属する新型ハンドル。思った以上にハンドルが高い位置に来るため、「これは好き嫌いが分かれるかなぁ」というのが第一印象でした。
しかし、実際に乗って握ってみると思った以上に乗りやすく、肘を畳んだポジションも取りやすいため、使うほどよさが分かる、スルメ的なハンドルの雰囲気を感じます。
ハンドルは合わなければ交換できるので、カスタムの余地があると考えてもよいかもしれません。
実際の乗車感としては、ある程度雑に踏み込んでも気持ちよく受け止めてくれるフレーム側の許容範囲の広さがあります。時計の針で言うと、2時から3時直前までという感覚が近いかも。
使われているカーボン素材も極端に硬いものではないため、脚が削られる感覚も受けにくいのではないでしょうか?。
僕が乗った車体のニュートラル位置は比較的捉えやすく、車体を跳ねさせる動き、つまりフロントアップやバニーホップも、その場で止まるスタンディングも、どのような動きに対してもフレームが素直に反応してくれる印象です。
また、安定性も非常に高く普段Checkpoint SLRに乗っている自分からしても、不満のない安定感を見せてくれました。
特筆すべきは走破性です。
TREX KAWASAKIの周辺には小規模なグラベル区間があるのですが、その区間を走っても、本職のグラベルロードと比べれば評価は変わるものの、ロードバイクとしては十分に走れます。
この軽さでこの走破性となると、もはや「グラベルも走れるヒルクライムバイク」と考えてもよいかもしれません。
そう、ヒルクライムと書いて思い出したのですが、IsoSpeedがなくなった影響なのか、ダンシング時の反応が従来のDomaneよりもシャキシャキしています。
これまでのDomaneは、ダンシングをした際に少し振りが遅い感覚で、逆に「ダンシングをせず淡々とペダルを回していくと、気が付けば速くなっている自転車」そんな印象がありました。しかし、今回はそのダンシング時の遅さを感じないんですよね。
ジオメトリは変わっていないので、余分なパーツがなくなり、重量が集中する箇所が減ったからなのでしょうか?
よい意味で、DomaneとÉmondaのどちらに乗っているのか分からなくなるようなイメージです。
SLRにも乗りましたが、SLRは踏み込んだ際の気持ちよいポイントがやや鋭角な印象で、少し前側、時計の針で言う1時くらいの位置が一番気持ちよく踏めた気がします。どちらにせよわかりやすいロードバイクと言う感じ。
軽さではSLRに軍配が上がるので、非レース用途+ヒルクライムであれば、SLRの方が好まれるのではないでしょうか?
SLにしろSLRにしろ、実際に自分が買うならどちらだろう。そこまで考えたくなるほど、設計に込められた熱を強く感じました。
記事作成時点ではProject Oneの案内はありませんが、自分が所有した際の妄想がはかどるフレーム(庭から石油が出るなら欲しい)率直な僕の意見はこれです。
デザイン
デザインラインについて触れていくと、駒沢時代に、
「余談ですが、Checkmateはメーカー史上最速・最軽量を標榜していますが、その代わりにヘッドバッジが消えました。この点だけで、僕はCheckpoint SLRをオーダーしてよかったと思っています。
私見ですが、次回作はペイントではなくバッジに戻してほしい」
と書いた僕からすれば、ヘッド周りは100点。ヘッドからフォークへと連なるラインも流麗で、ディ・モールト ベネ!!
ただ、シート周りは少し他社っぽく感じなくもない……というか、真横から見ると少し没個性的なデザインになってしまうんですよね。
今回のDomaneは、シンプルかつ快適性の高い車体なので、その方向性から外れたデザインではありません。しかし、消費者心理として、さまざまなメーカーの車体が並んでいる中から選びたくなるかと言われると、もう少しデザインに尖りが欲しい気もします。
逆に言えば、「分かる人には分かる」デザインなので、もしも色合いを自分で決めるなら落ち着いたカラーなども似合いそうですよね。
一部車体、例えばDomane SL 5のホワイトなどには、「Long Live the Road Ride」という今回のDomaneのグローバルキャッチが描かれており、デザインからもロードライドを楽しもうという熱を感じます。
デザイン面は割と満足度が高い(ヘッドからフォークに連なる曲線は200点!!)なのですが、あえてマイナス点を挙げるとすれば、フロントシングル化した際のFD台座周りです。イモネジを差し込んでいるだけなので、少し……いや、かなり武骨。
ここはドライブ側と反対側の厚みを何ミリか変えておき、フロントシングルの場合はカバープレートでふさぐなど、そういったデザインにはできなかったのかなぁ、とも感じました。
これはこれでリベットのように見えて、嫌いではないですけれどネ。

メーカーが力を入れたというRSLシートポストには、海外仕様で使用する穴が開いていますが、国内では不要なためカバーが付いています。
このシートポストは確かに乗り心地がよく、他社製の円形シートポストを採用した車体や、過去のロードバイクのアップグレードなどにも使用できるんじゃないでしょうか?
マニアックなところで言うと、ダウンチューブストレージがなくなったことで、整備性が気になる方もいると思います。今回はMadoneと同様、BB下からのアプローチに変わっています。
(シリアルは加工してあります。また、触っていないのでどちらがよいかについては触れません)
オプション周りでは、トップチューブ表側にバッグマウントが2個、裏側にも複数のマウントがあります。
ボトルケージマウントも通常どおりの配置で、フェンダーマウントは下部とシートステー裏に健在。
SL 4、SL 5のブラックは、シートチューブ裏側にリフレクティブ素材が配置されています。
黒い車体なので、夜間に反射素材がキラリと光るデザインになっていますね!

総評
総じて言えば、久しぶりに自分でも欲しいなと思う車体です。個人的な所感としては、TREKの中ではMadoneよりも好み。
普段はBAD評価を出すことも多い僕としては珍しく、「Not Bad」を連呼していました。
今回のDomaneは「Long Live the Road Ride」(意訳:ロードライドは永遠に)の言葉どおり、この車体一台でできることは非常に多岐にわたります。
従来のDomaneが「現代版のランドナー」だとすれば、Gen 5は「正真正銘のオールロード」と言えるでしょう。
メインターゲット層には入っていないとのことですが、もともとDomaneはレースバイクです。もちろん、レースができないわけではありません。
より多岐にわたって使えるようになったDomane Gen 5。
従来どおりのロングライドやバイクパッキングに加え、軽度なグラベルライドやヒルクライムにも対応します。
バッグやフェンダーを取り付けるのも、太いタイヤを履くのも、細いタイヤを履くのも、なんでもござれ。
十人十色の熱を見せてくれるであろうDomane Gen 5は、本日8月14日より発売開始です。
あなたの熱は、どんな色でしょう?
ぜひ、あなたの熱をDomane Gen 5で体現してください。
試乗会情報
最後になりましたがLORO Bicycles 駒沢公園店にて本日8/14より試乗会を開催します!
正直7000字の文章読むより乗った方が理解が早いので是非乗って、僕が感じた熱をご自身でも感じてみてください!
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